関連する重要な社会学理論に筆者の学問上の友人でもあるオックスフォード大学教授でイタリアのシシリー島のマフィアの研究の専門家であるディエゴ・ガンベッタ氏の理論がある。 彼の研究(The Sicilian Mafia. The Business of Private Protection、1993年)によると、マフィアは組織への忠誠心を第一に考えるが、仲間内の信頼度の高いマフィアの組織は、組織の人間が外部の人間と交流することを肯定的に考えるという。 外部との交流は情報や人的関係資本でなどマフィアに恩恵をもたらすからだという。 一方仲間内の信頼度の低いマフィアの組織は、組織の人間の外部の人間との交流を否定的に考え、特に「敵」とみなす外部への不必要な攻撃的行動を頻繁に行うという。 内部で仲間の忠誠心への信頼度が低いとき、「裏切り者」と思われないことが最重要となり、疑われやすい外部との交流を非難することで自分の保身を図り、さらには組織への忠誠を示す忠誠心競争のために「敵」を攻撃するのであると。