
みんなほっこり、自閉症の男性が描く世界 電話帳表紙に
自閉症の伊藤彬さん(23)=北九州市小倉北区=の作品が人気を集め、福岡市と北九州市などで今年配られる職業別電話帳
「タウンページ」の表紙に採用された。見たものや感じたものを独特のタッチで表現した作品は、シャツや文具にも使われている。
伊藤さんは2歳で自閉症と診断された。
空中や地面に向かって、にこにこしながら指を動かす伊藤さんを見て、母の典子さん(45)は「何しよるんかな」と不思議だった。
5歳のころ、保育士がペンと紙を渡すと絵を描き始めた。描いている時は、普段より落ち着いて席に座る。
小学3年生で企業主催の絵画コンクールで1位に。
特別支援学校を卒業後、18歳で障害福祉などのサービスを手がけるNPOの列島会創造館クリエイティブハウス(小倉北区)に就職した。
織物などを担当していたが、絵が得意だと知った職員の勧めで創造館の工房でも描き始め、作品はTシャツにプリントして商品化された。
人や動物を描くときは足から。ペンや絵の具で、迷いなく描いていく。数字と決めたら数字、ロボットと決めたらロボットを、小さくぎっしり描く。
昨年は、障害のある人たちがサッカーをテーマに描いた作品を集めた「パラリンアート・サッカーアートコンテスト」で入賞。
創造館では伊藤さんの絵をデザインした一筆箋(せん)などの販売も始めた。
職員は「よく見ると一つひとつの表情が違い、ほっこりして元気をもらえる」と話す。
9月26日、創造館でNTT職員から伊藤さんに感謝状が手渡された。壇上で拍手を浴びると照れたような笑顔を見せた。
福岡・北九州のタウンページ編集長、吉原裕枝さんは「地域と暮らしの情報誌として、受け取った人みんなが、温かさを感じられる絵を探していた」と話す。
タウンページは10月末までに、両市などの世帯に180万部が配られる。
典子さんは「あっくんの人間性がにじみ出ている絵。将来が不安だった時期もあったが、認めてもらってうれしい」と話した。
http://www.asahi.com/articles/ASK9V5J9HK9VTIPE02F.html
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