
政府の接種「完了」に定義なし…高齢者向け7割終了見込みでも「完了」の自治体も
政府がまとめた高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種状況(6月1日時点)によると、埼玉県内63自治体のうち62自治体(98・4%)が、政府が目標に掲げる7月末までに高齢者向け接種を「完了」する見込みだと回答した。ただ、こうした自治体は、必ずしも「全高齢者への接種を終える」という意味で回答したわけではなく、中には全高齢者の7割程度に接種を終える見込みでも「完了」と回答したところもある。政府が「完了」とはどのような状態なのか定義を示していないため、判断は各自治体に委ねられている。
県は5月11日の県議会福祉保健医療委員会で、7月中に接種が完了しないのは18自治体と説明していた。わずか3週間で、未完了は1自治体にまで減ったことになる。
熊谷市は当初、「完了」の意味について、「市内に住む高齢者全員への接種終了」と考え、終了見込み時期について「8月中旬」と回答していたが、5月下旬になって、県に「7月末までに完了見込み」と回答を変更した。市担当者は「県に相談したり、他の自治体を参考にしたりした結果、市内高齢者のうち8割程度が接種を希望していると想定し、その人たちへの接種終了を『完了』とすることにした」と説明する。
さいたま市は「医療系学会のアンケートで接種希望者が69・7%だった」(市幹部)として、接種を希望する高齢者を7割程度と見込み、そうした人たちへの接種が7月末までに「完了」と回答してきた。市内の高齢者は約32万人に上り、全員が2回接種するには64万回の接種が必要となるが、7月末までに接種見込みとしている回数も45万2000回にとどまっている。
白岡市や羽生市は、インフルエンザワクチンの接種率などをもとに、コロナワクチン接種を希望する高齢者の割合を設定。「必ずしも全員でなく、希望者への接種を終了できるようにした」(羽生市担当者)という。
一方、東松山市は、市内高齢者全員への接種終了を想定して「完了は8月中」と回答していた。その後、集団接種の時間を延ばすなどして接種可能な人数を増やし、大半の人に接種できる見通しが立ったことから、「7月末までに完了」と改めて回答したという。
同市は「実際にどれぐらいの人数が接種を希望するかは、接種を始めてみないとわからない。全員が希望しても打てる体制を整えることが重要」として、接種希望者数を想定することはせず、全員への接種終了を「完了」とする姿勢は崩さなかった。
担当者は「自治体によって『完了』の考え方が違うのはおかしい。国などが一定の基準を示してほしい」と指摘した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210604-OYT1T50158/