昨年末日本にいたとき、毎年恒例のお笑いコンテストがTVでやると聞いたので、ワクワクしながら視聴しました。
久しぶりにちゃんと観る日本のお笑い番組はとてもおもしろくてお腹を抱えて沢山笑いました。

けれど、出演者がステージ上に集合した時、そこにいたのがほぼ全員男性だった構図に私はなんだかぎょっとなってしまったのです。

お笑いの世界が圧倒的に男性のものなのは頭ではわかっていたけれど、こうして視覚的な情報として目に映ったときに、
男性ばかりが大声で発言をしあっているその不均衡な光景になんとも言えない圧迫感と心地悪さを感じてしまいました。

モンティパイソン、Mrビーンなどなど、イギリスでも著名なコメディアンは圧倒的に男性が多く、
日本でもイギリスでも「女性は面白くない」「男性のほうがお笑いのセンスがある」といったような通説が根強く存在しています。
しかし、本当に女性は男性に比べて人を笑わせる才能がないのでしょうか?

BBCは2014年に、今まで男性ばかりだったコメディークイズ番組の出演者にこれからは必ず女性を入れると発表しました。
これは男性中心的なコメディー界の変革にあたって大きな前進です。

しかし同時に、その規則を満たすために女性コメディアンを1人だけ出演させても、
逆に「女性としての出演」みたいに見えてしまい、その出演者に女性性が過剰にラベリングされるかもしれない。
だからもっと女性出演者を増やすか、そもそも司会者も女性の番組をもっと増やすべき、と言う意見が女性コメディアンたちから出ています。

でないと、女性だけがいつも「女性であること」を背負わされ、
男性のジェンダーは意識されず常にデフォルト(基準)としての立場で、女性を上からジャッジし続けてしまいます。

「女性コメディアンの胸に目がいくと笑えない」などと言っている人は、実はそう思ってしまうのはその人の男性中心的な世界の捉え方の問題であって、
女性コメディアンの問題ではないのかも?と考えた事があるのでしょうか?ついついBillie Eilishの名言
「私の体についてのあなたの意見は、私の責任ではない」という言葉を思い出してしまいます。

偶然にも、最近私の印象に残っているコメディアンは女性ばかりです。
息が止まるくらい笑い転げたのはAli Wongの妊娠出産ネタのスタンドアップだし、この人天才だなと心を震わせたのはHannah Gadsbyの「Nanette」というショーです。
https://www.elle.com/jp/culture/career/a34474911/hello-feminism-by-clark-shiori-why-there-aren-t-great-women-comedian-in-japan-201104/